肝硬変とは、肝臓の細胞が死滅し減少して線維組織になってしまい、肝臓が小さく硬くなってしまった状態のこと。
ひとつの独立した疾患というよりも、あらゆる原因から生じた慢性肝炎の症状が悪化し、長い期間をかけて辿りついた末路であるといえます一度肝硬変になると、
だといわれています。肝硬変の原因は多岐にわたりますが、以下が代表的な原因です。
・ウィルス性
・アルコール性
・自己免疫性
・薬剤・毒物性
・胆汁うっ滞性
・うっ血性
・栄養・代謝障害性
・感染症
特に日本では、ウィルス性によるものが最も多いと言われており、C型肝炎ウィルスによるものが大半を占めています。
臨床統計によると、肝硬変患者の80~90%の方はウィルスから慢性肝炎になり、それが治癒することなく肝硬変へと進行するケースがとても多いです。
ウィルス性肝炎から肝硬変へと進行する期間は、数ヶ月~何十年もの期間があり、普段の生活が多いに関係するといえます。
肝臓は、余剰の能力を豊富に備えているため、細胞が死滅していっても、線維化が高度に進行するまでは自覚症状がないことが多いです。
肝硬変になっても、すぐに肝硬変だと気づけることはほぼないでしょう。疑いがある方はこまめに検査を受けるなどして対策を設けておきましょう。初期症状としてはこのようなものがあげられます。
・食欲減退
・体重減少
・全身倦怠感
・疲労感
・顔色が浅黒くなる
・出血傾向
・男性の女性化乳房
さらに症状が進行すると、黄疸や腹水があらわれるようになります。この時点ではすでに肝硬変における末期の非代償期であり、安静にしている必要があります。
治療を自己中断してしまう方もいるため、家族による協力や看護が大変重要だといえます。特に、腹水などの合併症に対する看護が主体となります。
腹水による苦痛の緩和や、静脈瘤破裂の予防など、医師の指導を受けながら治療に協力することで、悪化を予防できるでしょう。
要注意!肝硬変が疑われる初期症状
肝硬変の初期症状には、全身倦怠感、体重減少、肝臓周辺の痛み、腹痛などがありますが、症状のほとんどが風邪や体調不良、他の病気と間違いやすい症状で、肝硬変だと気づく方はほとんどいないでしょう。
しかしそういった症状の中でも、もしかしたら肝硬変かもしれない、と自覚できる症状がいくつかあります。
まずは、皮膚に現れる変化です。初期症状としてあげられるのが、肌が浅黒くなる症状。こちらは、肝機能が著しく低下してメラニン色素が増加したときに、露出している部分が黒くなるといった症状。
まるで日に焼けたようになるのですが、それほど日に当たっていないのに浅黒くなっている場合は肝硬変の疑いがあります。
症状が進むことで、黄疸やくも状血管腫があらわれるようになります。黄疸とは肝臓の病気の多くにみられる症状で、血液中の色素である
で、皮膚や白眼の部分が黄色く変色することです。
くも状血管腫とは、わずかに盛り上がった1~3mmの赤い発疹を中心に、クモの足のように放射状に広がる血管が肉眼で見える状態のこと。顔面、頸部など上半身に多く現れます。
肝硬変以外の肝障害の場合や、妊婦さんにもみられる症状です。肝硬変の場合は、手のひらが赤くなる手掌紅斑という症状も併発することがあるといわれています。
腹水もまた、肝硬変の疑いが強い症状です。臓器と臓器の摩擦を少なくするために腹腔とよばれる隙間がありますが、そこに運動を円滑にするために少しだけ入っている水が、通常の量よりたくさん溜まった状態のことを腹水といいます。簡単にいうと、血管の水分に圧力がかかって、腹腔内にしみでた状態です。
腹水になると、お腹がポッコリ出るようになります。体重が激減しているのにお腹だけポッコリ出始めたら、腹水を疑っていいでしょう。腹水は肝障害がだいぶ進んだ際にみられる症状なので、腹水の初期症状をチェックしておく必要があるでしょう。
肝硬変の典型的な初期症状、かゆみについて
肝硬変の症状には、全身倦怠感、疲労感、腹痛、下痢、食欲不振、体重減少などがあり、末期になると黄疸や腹水があらわれるようになります。
ただ、肝臓は沈黙の臓器と呼ばれているほど、体に顕著な症状としてあらわれることがないため、発見が遅くなってしまうことが多いです。
そうならないためにも、お酒をよく飲む方は特に、肝硬変の特徴的な症状について知っておきましょう。
肝硬変の症状のひとつに、皮膚のかゆみがあります。これは典型的な初期症状のひとつだといえるでしょう。内臓は体の外からは見ることはできませんが、内臓をうつす鏡だといわれている部分が、皮膚なのです。
内臓に何か損傷があった場合に、皮膚が黒ずんだり斑点ができたりかゆみが発生したりと、まず
内臓の変病によって起こる皮膚症状のことは「デルマドローム」と呼ばれており、肝硬変により皮膚がかゆくなるのもデルマドロームの一種です。
肝硬変が引き起こすかゆみの特徴としては、蕁麻疹や発疹などは出ずに、ただかゆいということ。また、足や腕など体の一部に現れるのではなく、全身に現れます。
かゆみが生じるのは、血液中の色素ビリルピンの濃度が肝臓の損傷などによって高くなりすぎてしまうことが原因です。
肝硬変の代表的な症状として、黄疸があげられますが、黄疸になる前にすでにかゆみがある場合は「原発性胆汁性肝硬変」かもしれません。
これは、肝臓内に胆汁が停滞することによって発症する病気ですが、なぜ胆汁が停滞するのかという詳しい原因はまだわかっていません。
一般的には、まず全身のかゆみが現れ、数年後に黄疸がみられるのが特徴です。かゆみが続く場合には早めに検査を受ければ、黄疸が出る前に病気が発見できるかもしれません。
また、肝硬変だけでなくがんの場合にも全身にかゆみが現れることがありますから、発疹もなくただ全身がかゆいという場合は、乾燥や何かのアレルギーかも?と軽視せずに、早めに診察を受けることをおすすめします。
肝硬変になったら自覚症状はある?
肝臓は沈黙の臓器ともいわれるほど、その不調を症状としてあらわすことがほとんどない臓器です。そのため、線維化が高度に進むまで無症状であることがほとんど。
少し体調が悪いような状況が続くので、ただの風邪やちょっとした体調不良として片づけてしまう場合があります。
肝硬変の中でも代償期の肝硬変では自覚症状はほぼないといってもいいでしょう。非代償期へと進行することによって、自覚症状があらわれるようになります。
肝硬変リスクを抱えている方や、肝機能に不安がある方は、肝硬変の症状と似たような症状を少しでも感じたら検査を受けるようにしましょう。まだ全てが解明されたわけではないのですが、考えられる自覚症状がこちらです。
・食欲不振
肝硬変の初期症状としてもっとも代表的な症状です。肝硬変により胃腸分泌と吸収機能が乱れるようになり、食欲がなくなるだけでなく、吐き気や嘔吐などを繰り返すこともあります。
・全身倦怠感
最初のうちはなんとなく疲れを感じる程度ですが、どんどんひどくなっていきます。
・体重減少
こちらも初期症状として典型的な症状です。食欲がなくなることにより、体重が急激に減少するのが特徴。
・肝臓あたりの痛み
特に疲労感がひどくなってから生じるようになるのが、肝臓周辺の痛みです。肝硬変の70%程度の方にこの症状が現れます。
・メラニンの増加により肌が浅黒くなる
肝機能が著しく低下すると、メラニン色素が増加します。そのため、肌が露出している部分が日焼けをしたように浅黒くなっていきます。日焼けした状態となんら変わらないため一見健康そうですが、日焼けした覚えがないのに浅黒くなっている場合は要注意。
・出血
鼻や歯ぐきから出血がみられることがあります。肝機能が低下すると、血小板の減少や血液を凝固させるための成分が減少してしまうため、出血しやすくなり、一旦出血するとなかなか止まらなくなります。
・腹痛、下痢
アルコールを大量に摂取した翌日、お腹のハリ、腹痛、下痢などを生じることがありますが、これは肝硬変の初期症状としてもよくある症状です。この症状がすすむことにより、黄疸などの症状も現れるようになります。
肝硬変が疑われる症状と検査数値
肝臓は再生能力がとても高い臓器で、ある程度損害があったとしても身体には症状としてあらわれることはほとんどありません。
だからこそ、肝障害が進んでしまったときに初めてその病態に気づくことが多いのです。肝機能に不安がある方や、アルコールをよく飲む方などは、
肝硬変の検査は、
で行われることが多いです。肝生検とは、肝臓に針を刺して組織と取り出し、顕微鏡で調べて肝臓が線維化していないかなどを調べる検査のこと。これが検査方法の中でも最も的確といわれているものなので、こちらで検査を受けるのが理想です。
超音波検査でも肝硬変を検査することができます。初期の肝硬変の場合には、肝臓に腫れがみられることがあるので、超音波検査により発覚することもあるのです。
また、血液検査でも肝硬変の初期から反応ができることがあります。血液検査で、HA、LN、PⅢP、CIVらの二つか三つの数値が正常値よりも高いときは、肝硬変の初期だと考えられます。
脂肪肝や慢性肝炎の場合はGPTがGOTの数値を上回りますが、症状が肝硬変に進行すると逆転してGOTがGPTを上回ることになります。
一般的な検診とあわせて診断することもできますが、確定診断には、最終的には肝生検を受けることになるでしょう。
検査から診断を受けることで肝障害を明らかにすることができるのですが、それほどこまめに検査を受けられないという方は、ぜひ初期症状について知っておきましょう。
気づかずに放置してしまうと肝がんに進行してしまう恐れがあるため、ただの体調不良だと片付けずに、検査をしてみることをおすすめします。
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