肝硬変の症状は基本的には症状や肝臓機能の異常がない「代償性」と、悪化して症状が自覚できる「非代償性」があります。
早期に発見されるものの大半が代償性で、自覚症状がなくどんどん悪化していき、ようやく気づいたときには非代償性になっていくことはよくあることです。
全身倦怠感、疲労感、腹痛、食欲不振、体重減退などの初期症状を経て、末期となるとこのような症状があらわれます。
・黄疸
肝硬変の末期症状の代表的なもののひとつ。皮膚や白目に黄疸が見られるようになります。肝硬変患者には、半数以上は軽症で現れます。黄疸の急な発症や再発には十分な注意が必要。
・出血傾向
鼻血、吐血、血尿など、出血傾向症状が現れるようになります。胃からの出血や食道の静脈が拡張して、大量の出血を伴うことも。
・合併症
肝硬変の末期になると、合併症を引き起こすリスクがかなり高くなります。腎不全、播種性血管内凝固症候群などが代表的。さらに、肝臓がんと合併しやすい傾向があり、肝臓がんになると命の危険に迫られるので、そうならないためにも適切な治療を受け、定期的に検査を受ける必要があります。
・肝性脳症
肝機能が通常よりもかなり低下して、通常なら肝臓で解毒できるアンモニアが解毒されないまま脳に移動し、異常な精神状態に陥ります。
・5段階の昏睡状態
解毒されないアンモニアが脳に達すると異常な精神状態となり、それが進行すると意識がなくなって昏睡状態に陥ることがあります。その段階は、5段階に分かれるといわれています。
段階1…抑うつ状態、興奮状態、服装や部屋の汚れなどに気を使わなくなります。
段階2…しっかり睡眠をとっているのに関わらず、うとうとと眠気に襲われるようになります。また、場所がわからなくなる、時間がわからなくなるといった見当識認知や、羽ばたき震戦が現れることも。
段階3…寝てはいけない場所で眠ったり、眠り過ぎる仮眠状態に陥ったりします。極度の怯えや、興奮状態が見られるように。
段階4…意識を失い、昏睡状態になることがありますが、刺激を与えると反応します。
段階5…昏睡状態が続き、刺激や痛みにも無反応に。
目次
肝硬変が末期症状!?知っておきたい血液検査の「PT」
血液検査は最も基本的な検査といえ、これによって現在の肝臓病の状態をある程度は判断することができます。
肝硬変の方は、血液検査のほかにも静脈瘤ができていないか確認するための内視鏡検査や、超音波検査、CT検査などを受けることをおすすめします。
こういった検査の結果を照合することで、
そんな検査を含め、その中でも肝障害度を評価するスコア、チャイルドピュー分類があります。臨床的には肝硬変の程度をあらわし、肝がん治療の目安にもなるといわれています。スコアがこちら。
・判定基準1
アルブミン(g/dl)…3.5超
ビリルビン(mg/dl)…2.0未満
腹水…なし
肝性脳症(度)…なし
プロトロンビン時間(pt)…4未満(秒、延長)・70超(%)
・判定基準2
アルブミン(g/dl)…2.8以上3.5未満
ビリルビン(mg/dl)…2.0以上3.0以下
腹水…軽度・コントロール可能
肝性脳症(度)…1~2
プロトロンビン時間(pt)…4以上6以下(秒、延長)・40以上70以下(%)
・判断基準3
アルブミン(g/dl)…2.8未満
ビリルビン(mg/dl)…3.0超
腹水…中等度以上・コントロール困難
肝性脳症(度)…3~4
プロトロンビン時間(pt)…6超(秒、延長)・40未満(%)
が、血管内で働くものと、血管外で働くものがあり、プロトロンビン時間は外で働いている血液凝固因子の異常を見つけるために行われる検査です。プロトロンビン時間(PT)とは、血液が固まる時間を表します。
肝硬変では血液凝固因子が低下するためプロトロンビン時間が延長するのが特徴。血中半減期が短いため、その時点での肝臓の機能を反映することが可能で、劇症肝炎など急性期の肝臓の働きをみる値として重要だといわれています。
基準値としては、
だといわれています。
PT値≦40%では劇症化を予想して厳重な管理が必要。異常値が出た場合には、肝硬変のほかにも、急性肝炎、劇症肝炎、閉塞性黄疸、心不全、悪性腫瘍、ビタミンK欠乏症、プロトロンビン欠乏症などが疑われます。他の検査も行いながら、病態を確かめるようにします。
肝硬変の末期症状と余命
肝炎や脂肪肝では、それほど自覚症状なく過ごしている方がいるようです。肝臓は沈黙の臓器と言われているほど体に症状として現れることがほとんどないため、肝硬変になったとしても、すぐに気づく方は少ないかもしれません。肝硬変の症状は、自覚症状がほとんどない代償期と、症状が現れる非代償期にわけられます。
末期と呼ばれているのが、この非代償期です。非代償期に進行すると、壊された肝臓自体の機能があまり残っておらず、残された肝細胞では肝臓としての十分な働きができなくなっています。
非代償期肝硬変患者は安静にしていることが求められ、仕事と過労は禁物です。無理をすることで、合併症を引き起こし、命を危険にさらすこととなります。
考えられる合併症は、「食道静脈瘤・胃静脈瘤」「肝性脳症」「腹水」など。代表的な合併症が腹水で、血液中のアルブミンが低下して門脈の圧力が高くなることで発生します。軽度の場合は下腹部が膨らむ程度ですが、重度になると呼吸困難を引き起こすことも。
危険なのが、静脈瘤です。静脈瘤とは、肝臓が硬くなって小腸や大腸から流れ込む門脈と呼ばれる血管の圧力が高くなり、胃や食道の周りに逃げ道ができること。
いったん破裂してしまうと、消化管の中に大出血が起き、吐血などの出血傾向がみられます。
この大出血は、肝硬変の末期症状として緊急事態となることのひとつで、他には肝性脳症から引き起こされる昏睡に陥った場合に、余命宣告されることが多いようです。
肝硬変は、10年近くかけて徐々に進行していく病気です。もとの健康な状態に戻すことは大変難しくても、すぐに重篤な症状を引き起こすわけではありません。
また、末期といわれる非代償期まで進行しても、肝臓に負担をできるだけかけないように過ごすことで、症状もほぼ感じることなく日々過ごすことができるでしょう。
余命宣告をされた場合でも、3ヶ月と宣告された後何年も生き続けた患者さんもいますから、希望を捨てずに治療を受けるようにしましょう。
余命は?~肝硬変の症状が末期の場合
肝硬変とは、肝機能障害の中でも症状がかなり進行している病態で、食欲減退、体重減少、疲労感、全身倦怠感、下痢などさまざまな症状を伴います。
末期といわれる状態になると、目に見える症状としては、眼球や皮膚に黄疸が出始めます。腹水もあらわれ、肝機能不全による合併症を引き起こします。
特に、肝性脳症があらわれ始めると、
と言われています。肝性脳症とは肝硬変などの肝機能不全により、肝臓に栄養や血液がいきわたらず、肝臓での処理を受けることなく大循環系に流入するシャントによるシャント脳症、尿素を処理できなくなりアンモニアが大量に生じてしまう尿素欠損症などで引き起こされます。
症状の現れ方ですが、意識障害がまず起こることがほとんどで、さまざまな精神症状と運動系の症状が現れます。異常行動、せん妄、言語障害、多幸気分などといった症状が現れるのが昏睡へと進行するサインです。ミオクローヌス、固定姿勢保持困難など、特異な運動障害が見られるのも肝性脳症の特徴です。
肝性脳症はコントロールが可能で、アンモニアが大量発生しないよう便秘を避けるため薬をきちんと飲み、水分を適度にとるなど、医師の指示通り過ごしていれば肝性脳症に陥りにくいといわれています。
また、肝硬変から肝がんに進行してしまうことも少なくありません。肝性脳症や、肝がんなどの深刻な症状に進行した場合、余命を宣告されることもあり、症状によっても異なりますが、
しかし、適切な治療をすることで余命宣告後6年生きた方もいますし、心も衰弱してしまったことから余命宣告後3週間で亡くなった方もいるとか。
余命宣告はあくまでも目安であり、宣告されたあとにどう過ごすかが、生死を分けるといっても過言ではないでしょう。医師によって診断も異なるため、不安や疑問が残るならセカンドオピニオンを検討するのも手です。
アルコール性肝硬変になった場合の生存率とは
アルコールが引き起こす肝臓障害のひとつに、アルコール性肝硬変があります。肝硬変とは、肝臓の組織が硬くなり、本来の働きをしなくなる病気のこと。肝細胞の障害と線維成分の増加により肝臓が硬化縮小してしまいます。アルコールの大量摂取により、
だと思っておくといいでしょう。
アルコール性肝硬変になると、アルコールをやめても肝臓はもう元には戻らなくなってしまいます。しかし、アルコールをやめられるかどうかで生存率はかなり上がるといえるでしょう。
専門医の調査によると、肝硬変になって4年半後、お酒を飲み続けていた人の生存率は35%だといいます。つまり、
ということです。しかし、ここで断酒をすることにより、4年半後にも生存率は88%となり、なんと9割近い方が生きることができるといいます。
また、アルコール性肝硬変による死亡率を低くするための飲み物として、シンガポールの専門家による研究から、コーヒーがいいという報告があります。
63,275人の中年男女を対象として15年間にわたり行われた調査によると、アルコールを飲む人と飲まない人を比べると、コーヒーを飲むことが肝硬変での生存率に影響していたことがわかりました。アルコール性肝硬変の人たちの間では、コーヒーを1日に2杯以上飲む場合に、肝硬変による
したという結果が出ているのです。
しかしこの特徴はウィルス性の肝硬変を患った方では見られておらず、アルコール性にのみ結果を出しているようです。
この調査では具体的な原因には言及されませんでしたが、一部ではコーヒーの抗酸化作用によるものかもしれない、といわれています。
この調査の発表がメディアで取り上げられてから、アルコール性肝硬変の方の中で、コーヒーを飲む方が増えたそうです。
コーヒーだけでなく、アルコール性肝硬変の日常的な予防により、生存率が上がったという報告は少なくありません。
アルコール性肝硬変になってからの生存率をアップさせるためにも、日頃の生活習慣の改善なども大きく関わってくるでしょう。
腹水が出た場合の、肝硬変の余命とは
肝硬変という病気は、肝臓の機能が著しく低下し、細胞が死滅して減少して線維組織になってしまい、肝臓が小さく硬くなってしまった状態のことをいいます。
アルコール性の場合は脂肪肝から始まり、肝炎を経て肝硬変になるケースが多く、ウィルス性のC型肝炎の場合、慢性肝炎を経て肝硬変に進行することが多いといわれています。その期間はおよそ20年から30年。
肝硬変になってからの余命は平均10年といわれていますが、肝硬変になった年齢が遅い場合は、余命宣告をされたとしても天寿をまっとうされる方もいます。
肝硬変は週単位で悪化するものではないので、地道に適切な治療を続けることで、症状の悪化を遅らせることは十分に可能です。
肝硬変の末期症状として、典型的なもののひとつに腹水があります。アルコール性肝硬変の場合は、ウィルス性の肝硬変よりも腹水はたまりにくいといわれていますが、どちらの場合でも肝硬変の末期症状として復腔内に水がたまる可能性は高いです。
また、肝硬変末期は門脈圧亢進のほかに肝腎症候群という状態から腎不全を起こすことがあります。これにより本来なら尿として排出されるべき水分が体内に溜まり、腹水を引き起こすことがあります。
一昔前までは、肝硬変から肝臓がんへ進行し、腹水が現れたら先が短いサインだと思われていました。
また、腹水を抜くと体に必要なたんぱく質も体外に出てしまい、さらに腹水がたまるという悪循環を起こすことから、腹水を抜くことは死期を早めることだと信じられてきたのです。
しかし2000年頃に米国で「腹水をできるだけ抜かずに我慢した場合と、苦しくなる前に抜いた場合を比較すると、抜いた方が命の長さも生活の質も良くなった」と発表されました。
実際に、大量の腹水を度々抜きながらも元気に過ごしている方はいるので、腹水の症状が出たから終わりだ、と短絡的に考える必要はありません。
また、近年、ただ腹水を抜くのではなく、抜いた腹水から必要な成分だけをろ過して取り出し、体に戻す処置法も誕生しています。
アルコール性肝硬変で腹水が現れてからの余命は?
アルコール肝硬変になると、さまざまな自覚症状があらわれるようになり中期症状で現れる代表的な症状が、腹水です。
腹水は、他の病気でも起こることはありますが、肝硬変で起こることが最も多く、特にアルコール性肝炎により生じた肝硬変でよくみられます。
腹水のみの症状でいえば、腹腔内の体液が少量であれば普通は症状は現れません。しかし、大量にたまることで、腹部の膨張や不快感を生じるようになります。
腹部が膨張すると胃が圧迫されて食欲不振に陥り、肺が圧迫された場合は息切れをするようになるでしょう。
また、腹部が大きく張り出すとへその形が扁平になるケースや、飛び出たように見えるケースがあります。むくみがひどく、足首がむくむことも。
アルコール性肝硬変は回復しないわけではないのですが、飲酒することにより1日単位で悪化していきます。逆に、良くなるのは年単位なので、
専門医の調査によると、アルコール性肝硬変と診断されたあとも飲酒を継続した場合は、4年半後の生存率は35%で、断酒を継続出来た場合は88%だといいます。
また、アルコール性肝硬変になると突発性最近腹膜炎と呼ばれる感染症になるリスクが高く、治療をしないと命にかかわることもあります。早急に抗生物質による治療を行うことで、命を落とすことは免れるでしょう。
アルコール性肝硬変の末期症状になると、皮膚や白目部分に黄疸が出るようになります。黄疸が出ると肝機能がかなり低下していて、いつもなら肝臓で解毒される
することがあるため、意識がなくなり昏睡状態に陥る恐れもあります。
腹水がたまり、黄疸が出てくるほどの症状になってくると、余命宣告をされることもあるでしょう。その場合は、3カ月~半年と宣告されることが多いようですが、余命というのはあくまでも今までの症例での平均であって、一人一人の体力や生命力にかかっているといえます。
中には、余命宣告よりも6年以上長生きする方もいます。断酒するのはもちろんのこと、希望を持って日々治療にのぞむことが何よりも大切でしょう。
腹水が出ても余命は変わった?
肝硬変という病気は、肝臓の機能が著しく低下し、細胞が死滅して減少して線維組織になってしまい、肝臓が小さく硬くなってしまった状態のことをいいます。
アルコール性の場合は脂肪肝から始まり、肝炎を経て肝硬変になるケースが多く、ウィルス性のC型肝炎の場合、慢性肝炎を経て肝硬変に進行することが多いといわれています。その期間はおよそ20年から30年。
肝硬変になってからの余命は平均10年といわれていますが、肝硬変になった年齢が遅い場合は、余命宣告をされたとしても天寿をまっとうされる方もいます。
肝硬変は週単位で悪化するものではないので、地道に適切な治療を続けることで、症状の悪化を遅らせることは十分に可能です。
肝硬変の末期症状として、典型的なもののひとつに腹水があります。アルコール性肝硬変の場合は、ウィルス性の肝硬変よりも腹水はたまりにくいといわれていますが、どちらの場合でも肝硬変の末期症状として
です。また、肝硬変末期は門脈圧亢進のほかに肝腎症候群という状態から腎不全を起こすことがあります。これにより本来なら尿として排出されるべき水分が体内に溜まり、腹水を引き起こすことがあります。
一昔前までは、肝硬変から肝臓がんへ進行し、腹水が現れたら先が短いサインだと思われていました。また、腹水を抜くと体に必要なたんぱく質も体外に出てしまい、さらに腹水がたまるという悪循環を起こすことから、腹水を抜くことは死期を早めることだと信じられてきたのです。
しかし2000年頃に米国で「腹水をできるだけ抜かずに我慢した場合と、苦しくなる前に抜いた場合を比較すると、抜いた方が命の長さも生活の質も良くなった」と発表されました。
実際に、大量の腹水を度々抜きながらも元気に過ごしている方はいるので、腹水の症状が出たから終わりだ、と短絡的に考える必要はありません。
また、近年、ただ腹水を抜くのではなく、抜いた腹水から必要な成分だけをろ過して取り出し、体に戻す処置法も誕生しています。
肝不全(肝臓の機能不全)の病態
肝臓が機能不全になることを、「肝不全」といいます。肝不全になってしまうと、肝臓本来の働きができず、全身にあらゆる影響を及ぼします。
肝不全になると、人体に有害な物質であるアンモニアを尿素に変えて排泄できなくなるため、血液中のアンモニアの量が増え、肝性脳症を起こします。また、血液中のビリルビン値が高くなることで黄疸が出るなど、さまざまな症状を引き起こします。
肝不全になってしまう原因は、ひとつではありません。ウイルス性肝炎・肝硬変・アルコール・アセトミノフェンといった薬物による肝障害など、あらゆる肝臓の障害の結果として生じます。病態としては、「急性」と「慢性」の2種類があるでしょう。
急性型は「急性肝不全」と呼ばれています。急性肝不全は、肝疾患の病歴がなく、急激に肝細胞が破壊され肝臓の機能が低下した状態のことをいいます。
急性肝炎の経過中に肝機能が急激に低下して、進行性の黄疸、出血傾向、精神神経症状などの肝不全症状が出現することを、特に「劇症肝炎」と呼びます。急速に進行するのではなく、徐々に進行する場合を「慢性肝不全」といいます。
どちらの肝不全でも、黄疸、腹水、倦怠感、出血傾向、腎機能障害、意識障害などを引き起こすので、絶対安静が必要となります。
さらに、高ナトリウム血症や低カリウム血症、胃・十二指腸潰瘍、耐糖能の低下による糖尿病を合併することもあります。
また、吐き気、食欲不振、全身倦怠感、疲労感、眼精疲労、クモ状血管腫、手の平の紅斑、女性化乳房なども肝不全の症状です。
肝不全は、血液検査により、その数値で検査をします。一度肝不全になってしまうと元の健康な状態には戻ることはできないので、治療としては「肝臓移植」を選択する人が多いよう。
肝臓移植では、重症の肝不全患者も完治させることができます。肝臓移植を受けられない場合は、摘出手術後に放射線治療を施すことがあります。摘出さえしてしまえば、肝機能障害の症状の悪化を食い止めることができるのです。
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